現代文テーマ「アイデンティティ(自己同一性)」

アイデンティティ。自己同一性とも表されるこの言葉は、一般的に中高生辺りから耳にするようになる言葉であり、現代文の頻出テーマの1つでもある。しかしこの言葉、単に「自分らしさ」と曖昧に認識しているだけでは現代文の読解において十分とは言えない。
 
このテーマを読解に利用できるレベルまで持っていくには、アイデンティティ確立の過程を理解することが重要である。
 
では人はどうやってアイデンティティを確立するのか。まず先に具体例を見てみよう。
 
 
  1. ある高校生A君が名門KO大学に合格したとする。A君は「今日から俺もKOボーイか〜(* ゚∀゚)」と、それはもうウキウキしていた。が、実はA君が合格したと思っていたのはKO大学ではなく、社会的評価がイマイチのOK大学だったのだ!A君は当然ショックを受けて精神的に不安定になってしまう…
  2. ある女性B子さんは彼氏のC朗君とそれはもうラブラブであり、彼からの愛でたいそう満たされていたとする。B子さんは「彼が一番大切にしてくているのは私ね♪」ぐらいに思うのは朝飯前であった。が、実はC朗君は何年も前から他の女性と浮気していたことがわかり、別れ話を切り出されてしまったのだ!B子さんは当然ショックを受けて精神的に不安定になってしまう…
 
 
ざっくり言ってしまうと、カラーの部分その人のアイデンティティが確立されている状態であり、下線部の部分その人のアイデンティティが確立されていない状態(「アイデンティティクライシス」と呼ばれるもの)である。
 
つまり、アイデンティティが確立されている状態とは、
 
外的根拠(現実)
1.社会的価値(社会的に評価される団体の一員である等)
2.対他的価値(ある人にとって自分がかけがえのない存在である等)
 
 
自己意識(理想)
「私は〇〇である」
A君の場合)「私はKOボーイである」
B子さんの場合)「私はC朗君にとって唯一無二の存在である」
 
が一致することで
 
自己肯定感が生まれ、
ストレスフリーになっている状態のことなのだ。
 
逆にアイデンティティクライシス(外的根拠と自己意識が不一致)の状態にあると、A君やB子さんのように強いストレスを感じるようになり、これに対処するため防衛機制(心理的防御)と呼ばれるものが働くことになる。
 
この防御機制には様々な種類があり、例えばA君の場合、「名門大学なんて入っても遊んでばかりの学生しかいないから学問に集中できない!」などと決めつけ、満たされなかった欲求に対して理論化して考えることで自分を納得させる(合理化)
あるいはB子さんの場合、「あの有名女優Xも昔こういうことがあったんだ…」などと名声や権威に自分を近づけることで心の安定を得ようとする(同一視)などを挙げることができる。
 
 
アイデンティティをテーマとする文の読解
「この文はアイデンティティがテーマだな」と判断すること自体は意外と簡単で、文中でもそのまま「自己同一性」や「アイデンティティ」といった言葉が出てくることが多く (人物名で判断する場合は フロイト:1856〜1939 精神科医 を押さえておけば大丈夫だろう) 読解もアイデンティティ確立の流れがわかっていればなんてことはない。
 
しかし、ここで注意してもらいたいのは、他のテーマと共に出題された場合である。例えば、「中世ヨーロッパ」における「アイデンティティの確立」や「近代アジア」における「アイデンティティの動揺」などがテーマの文章の場合だ。こういった文章は、双方のテーマを理解してはじめて読解できるようになると考えた方がいい。
 
このように現代文では複合的なテーマの文章が出ることがあるため、1つのテーマを理解したからといって油断しているとかなりの確率で足元を掬われる(経験談)
 
だが他のテーマも今回のように簡潔にではあるが説明していく予定なので、この記事でまずは「アイデンティティ」について少しでも理解が深まったのなら幸いだ。アイデンティティ。言葉自体は身近にあるもだが、私は高3にしてその概要をやっと掴むことができた。そう、サカナクションのあの名曲を、今まで訳もわからずカラオケで歌っていたのである。
 
 
 
 
最後に記事を見返してみたが、アイデンティティゲシュタルト崩壊してしまうのではないかと不安になった。